南野拓実の魅力全開。「ゼロトップ」で躍動して相手DFは大混乱 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 この試合のテレビ解説を務めたダニー・ヒギンボザム氏(※現役時代はサウサンプトンやストーク・シティでプレーしたDF)は、南野の動きで相手に混乱が生じていると説明した。

「南野はほぼ中盤でプレーしている。実際、プレーマップを確認すると、CFの位置には誰もいない。こうなると、相手CBは誰をマークすればいいのかわからない。『誰につけばいいのか?』と、CBには非常に難しい問題が生じる。こうしたプレーはフィルミーノもよくやるが、南野も非常によくやっている」

 たしかに、南野の偽9番起用は効果的だった。

 南野が中盤に降りてくると、空いているCFのポジションにインサイドMFのジョーンズが侵入。あるいは、両翼のオリギやエリオットがダイアゴナルランでDFラインの背後に抜けていった。

 もちろん、南野自身もチャンスとみると最前線のフリースペースに突っ込んでいく。こうなると、相手のCBは誰を捕まえればいいのかわからない。南野の上下動のおかげで、リバプールは流動的、かつ厚みのある攻撃を奏でていた。

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 とりわけ、この試合で2ゴールを決めたジョーンズとの連係は効果的だった。南野が中盤まで下がれば、ジョーンズが前方にポジションを上げる。そして、南野が前線に入れば、その後方でジョーンズがサポートする。ふたりの「振り子の動き」は、この試合のポイントだったように思う。

 ヒギンボザム氏は「フィルミーノの動きのようだ」と南野について語っていたが、筆者にはもう少し違う印象を残した。前線とバイタルエリア周辺を動き回るフィルミーノに比べると、南野は中盤の深い位置までカバー。ブラジル代表FWよりもプレーエリアは広かった。また、プレス時の積極性や守備強度も、南野のほうが強かったように思う。その意味では、日本代表はゼロトップシステムで自身の持ち味を示したと言える。

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