2020.09.27

久保建英がカンプノウに立つ「ドラマ」。バルサ戦は短い出場でも脅威になれる

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 久保建英(ビジャレアル)は少年時代、青とえんじのユニフォームを身にまとい、カンプノウのピッチに立つ日を夢見ていた。バルセロナの選手としての薫陶を受け、精神とプレースタイルを叩き込まれる。それは特別な体験だったはずだ。

 そこで敵として立ち向かう――。久保はノスタルジーに酔うタイプではない。しかし、それはひとつのドラマだろう。

 9月27日、バルサは開幕戦をビジャレアルと戦う。コロナ禍の影響で8月まで昨シーズンを戦っていたことで、特例で第3節からの開幕になった。新たにチームを率いることになったロナルド・クーマン監督の新体制では、リオネル・メッシの退団騒動もあり、その初陣は注目される。

 そして、久保は古巣を相手にどのように戦うのか。

前節エイバル戦は84分から途中出場した久保建英(ビジャレアル) 久保は第1節、第2節と途中出場が続いている。バルサ戦も交代出場になる可能性は高いだろう。ただ、それは他の攻撃的選手が昨シーズンもともに戦ったメンバーであり、その完成度を考慮したもので、実力が劣っているわけではない。

「タケ(久保)は、準備はできていた。サム(サムエル・チュクウェゼ)は前半かなりハードワークし、ガソリンが切れかかっていたので、そこでタケを投入することにした。右サイドでよく働いて、ゴールチャンスを作ったし、あと一歩のところだった」

 エイバル戦後、ビジャレアルのウナイ・エメリは84分に投入した久保の交代起用について、そう説明している。

 久保は右サイドだけでなく、トップや左サイドでも、違いを見せられる。事実、第1節のウエスカ戦はトップ下で交代出場。適応力が高く、どんなシステムでも求められるプレーができる。その点ではチーム屈指と言えるだろう。試合展開がオープンになった時、ラインを破るようなプレーでカオスを与えられる。特筆すべきはそのふてぶてしさで、交代で入ってもすぐに試合のリズムに入り、ビッグプレーをやってのける。

 エイバル戦も、10分に満たない出場ながら、いくつもチャンスを作った。