2020.09.28

育ってきた環境が違うからなのか。ソン・フンミンは徹底的に個で勝負

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

サッカースターの技術・戦術解剖
第27回 ソン・フンミン

<小中学時代はチームに所属せず>

 プレミアリーグ第2節、トッテナムのソン・フンミンがサウザンプトン戦で4ゴールをゲットし、5-2の勝利に導いた。

トッテナムで開幕から好調なソン・フンミン"スパーズ"のエースはいまやソン・フンミンだ。イングランド代表キャプテンのハリー・ケインやデレ・アリよりも、頼りになるゴールゲッターになっている。

 ハンブルガーSVの育成チームを経てプロデビュー、レバークーゼンで活躍してプレミアリーグのトッテナムへ移籍、今季で6シーズン目になる。意外なのは、小学生と中学生のころ、チームに所属していなかったことだ。

 父親のソン・ウンジョンは元サッカー韓国代表選手で、高校入学までは父親の指導を受けていたのだという。まったく試合でプレーしていなかったかどうかはわからないが、どのチームにも所属はしていなかったようだ。コーチである父親は、徹底して技術を習得させた。

 所属チームがないということでは、フランスの国立養成所がそうだ。全寮制の養成所ではトレーニングしかやらない。ただ、週末は近隣のクラブに分散して試合経験は積んでいた。ただ、韓国の場合は独特の育成システムがある。

 韓国の育成はエリート主義で、かつては「四強制度」がよく知られていた。KFA(大韓サッカー協会)の指定校が小学校サッカー部からあり、頂点を目指すエリートとそれ以外の選手が早くも小学生段階で選別される。年に何回かある全国大会でベスト4以上の戦績を収めた指定校のなかから、中学の指定校サッカー部へ入部できる選手が決まる。

 同じように高校、大学とふるいにかけていく。四強制度が象徴する激烈な競争は、選手の勝利への執念をかきたてる反面、勝利至上主義やラフプレーの横行などの問題も指摘され、2002年ワールドカップあたりを境に是正する方向になったが、それでも韓国のエリート主義は根本には残っている。