元祖天才が久保建英を詳細に分析。「消えた天才たちとは明確に違う」

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by AFLO

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小学生のころから「天才」と注目され、19歳でスペインリーグ上位のビジャレアルでプレーするようになった久保建英。日本サッカー界には10代から「天才」と呼ばれた選手が多数いたが、久保の現在のプレーぶりはそうした選手たちとは一線を画すようだ。過去と現在の天才にどんな違いが出てきたのか。選手時代は16歳でトップチームデビュー、引退後は育成年代のスペシャリストとして20年以上選手を指導している「元祖天才」、菊原志郎氏に話を聞いた。

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 中学3年時の15歳で読売クラブ(当時/現東京ヴェルディ)のトップチームに昇格し、高校1年時にデビュー。のちに日本代表でもプレーした菊原志郎氏は「元祖天才」だ。

 1996年に引退後は指導の道に入り、一貫して育成年代の選手の指導に携わった。吉武博文監督率いるU-17日本代表『94ジャパン』(※94年以降生まれ)では、U-17W杯でベスト8に進出したチームのコーチを務め、中島翔哉、南野拓実、室屋成、鈴木武蔵などに「近い将来、A代表に入るために」という視点から指導し、成果をあげてきた。

 そんな菊原氏は、日本の若きタレントである久保建英をどう見ているのか。

 自身もテクニック溢れた選手だった菊原氏は「久保選手のいちばんの特徴は、技術の高さだと思います」と語る。

過去の日本の「天才」とは、一線を画した活躍を見せる久保建英過去の日本の「天才」とは、一線を画した活躍を見せる久保建英「ドリブルやシュートの技術は、間違いなく高いものがあります。ボールが足元から離れず、相手をよく見ながら、いつでも、どんなプレーもできるような持ち方をしています。オフ・ザ・ボールの準備もすごくいいので、ボールの受け方がうまく、ファーストタッチの技術も日本人選手のなかではズバ抜けていると思います」

 サッカーは、ボールを受ける前の準備ですべてが決まると言っても過言ではない。味方、相手の状況を見て、スペースはどこにあるか、どこでボールを受ければチャンスになるか。この段階において「久保選手は、周りの状況を把握する力、いわゆる認知力がすごく高い」と菊原氏は賛辞を送る。

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