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W杯4回優勝。ブラジルの栄光を築いた名将の成績が圧倒的すぎる (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 逆にブラジルとしては現実的で堅実なサッカーだった94年と02年には優勝しているが、結局今日まで70年を超えるブラジルは現れていない。

 ザガロは「守備的」な監督ではなかったが、セレソンに「現実」を持ち込んだ人ではあった。変化する世界のサッカーを見据え、ブラジル至上主義に陥ることのない感覚を持っていた。

 だからブラジル人には不評だったが、第三者から見れば信頼に足るものがあり、実際ザガロが監督などで深くかかわったセレソンは110勝33分。負けは11敗しかない。

 地に足のついた監督だった。ただ、何度かは精一杯つま先立ちになって自らのつくった偉業を超えようとしていた。それはブラジル代表監督の宿命とも言える。

マリオ・ザガロ
Mario Jorge Lobo Zagallo/1931年8月9日生まれ。ブラジル・アラゴアス州出身。現役時代は左ウイングとして活躍。ブラジル代表として58年スウェーデンW杯と62年チリW杯で優勝した。引退後はブラジル代表監督を指揮し、70年メキシコW杯優勝、74年西ドイツW杯ベスト4。その後も94年アメリカW杯(優勝)、98年フランスW杯(準優勝)、06年ドイツW杯(ベスト8)と、監督やコーチとしてブラジル代表に長く関わった

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