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ジダンの特異性とトルシエジャパン惨敗。
欧州スポーツの聖地で見た事件 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 結果は0-5。ラグビーにたとえれば100点差負けと言ってもいい大敗だった。フランスはそれでも手を抜いていた。5点目を奪った(後半23分)直後だった。フランスの7番、ロベール・ピレスが自軍ベンチ前でボールを受け、前に進もうとした瞬間だった。ベンチの誰かがピレスの背後から指示を出した。

「もう点を取りに行くのは止めておけ」。指示の中身はたぶんそうだったに違いない。なぜなら、前に進む気満々だったピレスが、突然、方向転換し、後方で構えるバックラインに向けて、パスを戻したからだ。

「国際試合で5-0以上のスコアで勝つことは、親善試合のコンセプトから逸脱した愚行。マナー違反だから」と、馴染みのフランス人記者は言った。

 スタッド・ドゥ・フランスで日本がフランスと対戦した2度目は、ザックジャパンの時代。2014年10月12日だった。結果は1-0で日本。だがザッケローニは親善試合であるにもかかわらず、メンバーを3人しか変えなかった。6人という交代枠をフルに活用したフランス代表のディディエ・デシャン監督とは大きく異なっていた。

 スタッド・ドゥ・フランスで学んだことは数知れず。いい思い出が詰まったスタジアムと言いたくなる。

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