塩谷司を変えた母親と恩師の言葉
「あの日から、あきらめなくなった」 (2ページ目)
高校まで続けてきたサッカーにしても、社会人のチームに入って、趣味で続けていこうと考えていた。ところが、そんな塩谷のもとに東京・国士舘大学から声がかかる。
「授業料も免除というわけではなかったんですけど、親と何度も相談して話し合った結果、勝負してみたいという気持ちになったんです。基本的には、やりたいことはやらせようとしてくれる親だったので、負担はかけますけど、奨学金を借りつつ、『最後に好きなサッカーをがんばっておいで』ということで送り出してくれたんです」
意気揚々と地元・徳島を飛び出せたのは、親の後押しがあったからだった。
希望を胸に抱いて、塩谷は国士舘大学に進学した。ところが、いきなり大きくつまずいてしまう。
「入学式前に新入生たちが集まって、練習に参加する機会があったんです。周りを見たら、全国の有名な高校やクラブチームから選手たちが来ていて、みんなものすごくレベルが高かった。自分は実績があるわけじゃないし、田舎から出てきたこともあって、圧倒されてしまったというか」
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