キエフのシェフチェンコとゲルマン魂。キレたジーコと美人記者の質問 (5ページ目)
何を隠そう、試合中、後の席に座っていた美人記者だった。彼女の瞳は、大真面目だった。こちらの眼鏡の奥を真っ直ぐに見据え、訴えかけているようでもあった。
「今日の試合をどう思いますか。あなたも、ジーコ監督と同じように、記憶から消し去りたい試合だと思いますか?」
びっくり仰天とはこのことである。筆者にとっては忘れられない「親善」試合となった。
キエフのオリンピスキを次に訪れたのは、およそその7年後。ユーロ2012決勝になる。スペインがイタリアを4-0で下した一戦だ。
オリンピスキはまったく別の姿になっていた。収容人員は7万50人。それまでの9万人から数を減らしたが、その分モダンになって、すっきり見やすくなった印象だ。建設の経緯を詳しく知るわけではないが、100パーセントの新築ではないとのこと。改築、リニューアル。かつての面影をどこかに潜ませている。精神性を引き継いでいるスタジアムだ。
ユーロ2012。その記者席に、残念ながら7年前の美人記者の姿を確認することはできなかった。2017-18シーズンCL決勝、レアル・マドリード対リバプール戦しかりである。
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