ベンゲル対クライフ。26年前、
初めてCLを観た驚きのスタジアム
追憶の欧州スタジアム紀行(3)
ルイ2世スタジアム(モナコ)
モナコのルイ2世スタジアム(スタッド・ルイ・ドゥ)を初めて訪れたのは1994年の4月13日。対戦カードはモナコ対バルセロナだった。1993-94シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)2次リーグ最終戦だ。
だが、最初からこの観戦を予定していたわけではない。取材の目的は、その当時、サンプドリアでプレーしていたオランダ代表の中心選手、ルート・フリットのインタビューだった。94年アメリカW杯を2カ月後に控えるなかで、彼はオランダ代表に参加することを拒んでいた。サンプドリアの本拠地、ジェノバに出向いた理由は、本人からその理由を聞き出すためだった。
モナコにある唯一のスタジアム、ルイ2世スタジアム 94年4月といえば、Jリーグが始まった1年後であり、「ドーハの悲劇」の半年後にあたる。関心は日本代表、ひいては"国対国"のW杯に向いていた。"街対街"の象徴であるCLに関心を寄せる人は少数派だった。筆者もサッカーの旅といえば代表戦が中心で、モナコ対バルサのCL観戦に出かけたのは、本当にたまたまだった。
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