バルサの伝統の結晶であるメッシは、バトンを渡すことができるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

「レオは小さいけど、ヘディングもうまくなろうとしている。とにかく、完璧な選手を目指しているんだ」

 ブラジル代表ダニエウ・アウベスは、メッシの底知れなさについて饒舌に語っていた。

「たとえばドリブラーはどのチームにもいる。ステップが巧みで、スピードもある。でも、レオは違う。もっと貪欲で、ドリブルに満足せず、ゴールを常にとらえている。シュート精度は高いが、周りも使える。目にした選手の技術をコピーしてすぐに自分のものとし、高いレベルに引き上げてしまう。成長し続ける選手なんだよ」

 メッシは、ミカエル・ラウドルップやルイス・フィーゴのような過去にバルサに在籍した選手の技(ループやフェイントなど)をよく使ったという。柔軟に技を取り込むことができた。最も触発されたのは、同僚だったロナウジーニョだったかもしれない。また、MFシャビ・エルナンデスの影響も強く受け、中盤に落ちてゲームメイクするときの動作パターンはかなり似ている。

 メッシは、楽しむ気持ちを戦闘力に換えられる、稀有な選手だろう。頭の中は勝利しかない。えげつないほどに相手の弱部を察知し、そこを突き崩す。しかし戦い自体は下劣にならず、サッカーの美しさに満ちるのだ。

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