本田圭佑をキープレーヤーに。ボタフォゴ新監督がクラブに要求した条件 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 ところが、ほんの4カ月で彼はサントスを後にしてしまった。今回、アウトゥオリがボタフォゴの監督になったと聞いて、私はとても驚いた。彼は「もう監督をする気はない」と明言していたし、ベンチから遠ざかりたがっていたからだ。

 ボタフォゴは現在、財政的に非常に苦しい状態に置かれている。選手の給料の支払いも遅れているし、「支払える報酬に上限がある」と公言もしている。監督だろうが選手だろうが月に20万レアル(約500万円)以上は払えないというのだ。アウトゥオリはこれまで、この金額よりはるかに高い報酬をもらってきた。

 彼が得ていたよりずっと低い報酬を受け入れてまで、ボタフォゴの監督となったのはなぜか。

 ボタフォゴは20あるブラジル1部のチームの中でも、もっとも商業化の進んだチームだ。ブラジルは2019年まで、企業化されたチームは存在しなかった。すべての主要チームは会員の出資から成り立ち、経済的な利益を目的としていなかった。いや、利潤を追い求めてはいけなかった。会長はオーナーではなく、会員の中から選ばれるため、オイルダラーや中国マネーがブラジルのチームを買うことはできなかった。

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