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香川真司は「パスコースが見えている」。
レアルに大敗も指揮官は高評価 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 紆余曲折の末、昨年の夏、憧れのスペインにやってきた。だが、その舞台は2部だった。それでも、あくまでサラゴサに馴染み、腰を据えて活躍したいと思った香川は、あえて大きな楽しみを望まないでいた。ドルトムントでの終盤やベシクタシュ時代の不調から自分自身を立て直す必要もあり、地に足をつけた地道な再スタートを誓った。

 それだけに、マジョルカ戦後の「レアル、バルサと対戦したい」というコメントは、この半年間で少なからず手応えを得たという証だろう。

 そしてこの日、香川の意気込みは明らかだった。チーム全体のシュート15本のうち、5本を香川が放った。23分にはペナルティエリアの手前から左足でシュート。枠内ギリギリだったが相手GKに阻まれた。30分にも右からワンツーでゴール前に切り込み、ペナルティエリア外から左足でシュート。これは相手DFにあたってCKになった。

 時間の経過とともに、サラゴサは香川のクオリティーに頼るようになった。絶妙に相手から距離をとった位置でボールを受け、パスをつなぐ。ボールが収まり、ほんの数秒でも時間を作れる唯一の選手が香川だった。

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