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世界最高MFの転身。シャビ・アロンソに
聞く「一番影響を受けた監督」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Agencia EFE/AFLO

 もしや監督になったシャビ・アロンソは、それを奨励しているのか。

「壁当て? あれは、私が指示しているわけではないよ」

 彼は端正な顔に甘い笑みを浮かべて言った。

「バスク人(スペインの北にあるバスク地方に住む民族で、独自の言語、文化を持つ)の性格じゃないかな。真面目な選手が多いから、反復が大事なことを知っている。それに、バスク人にとって壁当ては習慣なんだと思う。どんな町にもフロントン(バスクの独特のスポーツ、ペロタの競技場。体育館のような作りで、壁にボールを当て、それを打ち返す)があるからね。そこで子どもたちはペロタだけでなく、サッカーボールをぶつけて遊んだりするから」

 説明は簡潔だった。すでに選手の信頼を得ているのは、物事を複雑化せず、伝えられるからだと、クラブ関係者から言われている。

「昨シーズンは、レアル・マドリードのインファンティル(13~14歳の下部組織)の子どもたちを指導した。いい経験だったよ。どうやってコミュニケーションをとって、伝えるか。自分が監督をスタートさせたことを、わからせてもらった」

 監督としての一歩を踏み出した彼は、すでにその世界を生きている。

「ヨハン・クライフが言っていたことだけど、『1番美しいのは、選手としてプレーすること。2番目に美しいのは監督』。私もそう思う。いまは違う形だけど、選手を通じてサッカーを楽しんでいるよ。目標は設定していない。現役のときもそうだったけど、目の前のことを懸命にやってきた。日々、野心的に挑むつもりだけど、楽しみながら進みたい。結果は後からついてくるものさ」

 そう語るシャビ・アロンソは腹をくくっていた。そこで、こんな質問を投げかけた。

――監督として一番影響を受けたのは、やはり世界最高の指揮官と言われるジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ)か?

「全員だよ。誰かひとりというのはない。結局は、本人のパーソナリティだ。どのように感じ、どのようなサッカーをしたいのか。監督はそれが自分のなかにないといけない。私は子どもの頃から、『もっとサッカーを理解するには?』って、いつも自分に問うてきた。90分プレーして、勝ち負けで終わり、なんてことはあり得ない。どこで何をすればもっと向上できるのか、そのためには何が必要なのか、ずっと考えてきた」

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