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悲願のタイトルを手にしたクロップ。CL決勝は経験がモノを言う (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 87分にディボック・オリギに2点目を決められるまで、スパーズは終盤にソン・フンミンを中心に攻勢をかけたが、クロップ監督が勝因に挙げたGKアリソン・ベッカーの好守もあり、最後までゴールは遠かった。

 新戦力をひとりも獲得せずに──モダンフットボールではちょっとありえないことだ──、奇跡の連続を経てここまでたどり着いたスパーズについて、「彼らに失うものはない」と人々は言う。終了の笛を聞いて呆然とするスパーズの選手たちに失くしたものがないとするならば、彼らは何を得ただろうか。

「僕らはこの敗北から学ばなければならない」とウィンクスは言い、選手たちに何と声をかけたかと訊かれたポチェッティーノ監督は「みんな落胆しきっているので、今は何も話せない。ただし、ファンタスティックなシーズンだった。我々は胸を張るべきだし、私は選手たちのことを誇りに思う」と回答している。動揺は隠しきれなかったけれども。

 しかし、クロップも(そしてポチェッティーノも)戦前に語っているように、フットボールを深く知る人々は、指導者たちをタイトルだけで評価しない。それぞれのチームにさまざまな状況がある。「決勝は勝利がすべて」とするクロップ監督の言葉も真実ながら、勇気ある敗者が示したものもまた真実だったはずだ。

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