2019.06.04

ネイマールにまたスキャンダル。
主将剥奪でコパ出場にも懐疑の声

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by AFP/AFLO

 6月14日にコパ・アメリカ(南米選手権)の開幕を控えたブラジルで、国民の多くから嫌われ、憎悪に近い感情を向けられる男がいる。ブラジル代表(セレソン)のエース、ネイマール(パリ・サンジェルマン)である。

ブラジル代表合宿中のネイマールと新主将ダニエウ・アウベス その最大の理由は、昨年のロシアW杯で期待を裏切り、セレソンを優勝に導けなかったことにある。タックルを受けた際の大袈裟な痛がりようや頻繁なダイビングも、「実に見苦しい。ブラジルの恥」と糾弾された。

 W杯前は、国民的英雄にして人気者だった。それが、一気に「大衆の敵」へ転落……。だがそこには、プレー面以外の伏線があった。自身のインスタグラムで、プライベートジェット、ヘリコプター、大型ヨット、豪邸、有名女優らとの派手な交際などを見せびらかし、つましい生活を送る人々の反感を買っていた。

 スター選手がどれだけ多額の報酬を手にしようと、それに見合うプレーをしている限り、大きな不満は出ない。しかし、自らの責任を果たさず、とりわけ国民の最大の誇りであるセレソンで期待された結果を残すことができなければ、人々の潜在的な反感に火が付き、炎上するのだ。

 ネイマールは2017年8月、バルセロナでリオネル・メッシの影に隠れるのを嫌い、金銭的なメリットも追及してパリSGへ移籍した。そもそもこれが大失敗だった。移籍してすぐにウルグアイ代表FWエディンソン・カバーニらと衝突してチームの輪を乱し、地元メディアから批判された。しかも、自らのプレーによってチームをチャンピオンズリーグで躍進させることができなかった。2018年2月には右足首を骨折し、長期の治療とリハビリを行なってロシアW杯を迎えたが、ベスト・コンディションには程遠く、本来のプレーができなかった。

 W杯後、チッチ監督が留任すると、最初にやったのはネイマールを主将に指名することだった。そこには、世界中から非難され、失笑されて、失意の底に沈んでいたネイマールを励まし、助け起こそうとする意味があった(ただし、このときも反対意見が多かった)。