チーム降格も驚く切り替えの早さ。
原口元気と浅野拓磨「次に向かう」 (2ページ目)
浅野は、原口よりもさらに苦しいシーズンを送ることになった。アーセナルからのレンタル先であるハノーファーが、買い取りオプションを行使しないことを決定。それにより契約の都合上、シーズン終盤は出場機会を失った。通常、この手の契約に関わることは水面下でスマートに話し合われるものなのだろうが、今回はそれが表沙汰となり、ハノーファーの会長や幹部、監督まで巻き込んでちょっとした騒動になり、地元紙を賑わせた。
フライブルク戦をスタンドで観戦していた浅野は、試合後、我々の姿を見つけると、「何か話しましょうか?」と自ら歩み寄ってきた。報道陣が「コメントがほしい」という熱い視線を送っていたこともあるが、こちらを気遣ってくれる様子は、相変わらずの好青年ぶりだ。
「とっくの前に、みなさんが感じてくれている(悔しい)感情は通り越しました。でも、もうその(ハノーファーが買い取りオプションを行使しないと決定した)時点で、僕は次を見据えての準備はできていますし、練習も、いつもどおりというか、今まで以上に全力で取り組めている」
浅野は明るい様子で語った。浅野の場合、ハノーファーに残るという選択肢はそもそもない。すでに1カ月ほど前から、来季に向けて自ら動くしかなかった。買い取りオプションを行使しないというチームの決定については、当初は戸惑いがあったという。
「最初聞いた時は、やっぱり驚きもありましたし、『マジかよ』という気持ちもありましたけど、その時点では切り替えられていました。(買い取りの)可能性がゼロになったわけじゃなかったので、もしかしたら何かがあって可能性が出てくるというのもあったので、そのための準備でもありましたけど」
以前、原口は浅野について、「拓磨はひとりで二部練をしたり、めっちゃ走ったり、元気ですよ。選手として次に行かなきゃいけないから」と話していたことがある。周囲は、深刻な状況に苦しんでいるのではないかと思いがちだが、原口も、そして浅野自身も、さっぱりとした様子だったのは印象的だった。
実際、選手生活に立ち止まっている時間はないのだろうが、とにかく選手たちの精神的な切り替えの早さには驚かされる。チームは降格したが、2人とも自分自身の次のステージに向けて、すでに動き出しているに違いない。
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