3%の奇跡にアンフィールドが熱狂。リバプールがバルセロナに大逆転 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 得点後、熱狂的なサポーターが集うゴール裏のKOPスタンドは、地鳴りのような歓声とともに喜びを爆発させた。対照的に、バルセロナのルイス・スアレスは、手を左右に振って苛立つ様子を見せた。

 イケイケになるリバプールと、焦りを増すバルセロナ。とくにバルセロナは、1点を奪われた時点でまだ1-3(2試合合計)になっただけだったが、どこか落ち着きを失ったように見えた。3-3にされると、焦りと失望の色は明らかに濃くなった。

 もちろん、アンフィールドの住人たちの存在も、リバプールの攻勢を後押しし、バルセロナの窮地に追い込んだ一因だった。

 試合前にバルセロナが円陣を組むと巨大なブーイングを浴びせ、彼らがボールを持てば耳をつんざくような口笛を鳴らした。そして、自軍の好プレーには割れんばかりの拍手と歓声で応える。「最高の雰囲気だった」と、試合後のクロップ監督が語ったように、12番目の選手としてリバプールをサポートした。

 こうして迎えた後半34分、集中が完全に切れていたバルセロナ守備陣を見逃さず、トレント・アレクサンダー=アーノルドが素早くCKを蹴ると、オリジが右足を一閃──。ついに、リバプールが逆転に成功した。

 試合は、このままリバプールが劇的な勝利を収めた。英紙『タイムズ』は「リバプールが不可能を可能にした」と報道。英BBC放送も「2005年のチャンピオンズリーグ決勝・ACミラン戦を上回る逆転劇だった」とし、前半の0-3から後半に3-3の同点に追いつき、PK戦の末に勝利した「イスタンブールの奇跡」を超える試合だったと伝えた。

 試合後、クロップ監督は「勝利するだけでも難しいのに、無失点に抑えた。今夜のことは、これからもずっと記憶に残るだろう。過去にこのような勝利があったかわからないし、今後起こると確信も持てないからだ。選手たちは本当によくやった」と胸を張った。

 3%の可能性を信じ、積極果敢に仕掛けて逆転勝利を呼び込んだリバプール。最高の勝利とともに、チャンピオンズリーグ決勝の舞台となるスペイン・マドリードへ乗り込むことになった。

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