色気のあるプレーに拍手喝采。オランダ代表は正しい道を進んでいる (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 オランダ代表とアヤックスは違ったプレースタイルだが、非常によく似た点も多々ある。そのひとつは、オランダ代表がメンフィス・デパイ、アヤックスがドゥシャン・タディッチという、ゲームメイクもできるアタッカーを「偽の9番」として置いていることだ(アヤックスはCL限定の戦術で、国内リーグではストライカーを置いている)。

 また、ランナータイプのMFを2列目に置いている点も共通している。オランダ代表ではジョルジニオ・ワイナルドゥム、アヤックスではドニー・ファン・デ・ベークがペナルティエリアの内側にどんどん入り込み、相手DFを撹乱させている。

 さらに、ハイプレッシングからのショートカウンターも、両チームに共通している重要な戦術だろう。しかも、規律正しいプレーのできるタレントたちが、まるでストリートサッカーのような遊び心のあるトリックやコンビネーションを随所に魅せるのだ。そのプレーに色気があるので、それを見るためにスタジアムが満員になるのも当然のことだろう。

 3月24日にヨハン・クライフ・アレーナで行なわれた欧州選手権予選「オランダvsドイツ」の試合チケットも、もちろんすぐ売り切れた。ドイツは世代交代の真っ只中の苦しい時期ということもあり、戦前予想はオランダの勝利が本命視。ところが、勝ったのはドイツだった。

 オランダはドイツに2点を奪われて前半を折り返したものの、後半は猛攻を仕掛けて2-2に追いつき、さらに勝ち越しゴールを奪いそうな勢いだった。だが、劇的な決勝ゴールを決めたのは、オランダではなくドイツ。土壇場で黒星を喫することになった。

 試合後の記者会見で、オランダを率いるロナルド・クーマン監督は「私の采配ミスだった」と認めた。オランダにとっては引き分けでも上々だったのだから、守備的な選手をピッチに入れて「引き分けでオッケーというシグナルを送るべきだった」と、後悔を口にした。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る