イングランドの未来は明るい。
10代の台頭で育成改革が花を咲かせる
新世代の台頭を印象づける一戦だった。
イングランド代表は3月22日にチェコとの2020年欧州選手権予選の初戦を戦い、5−0で大勝した。そのなかで、ふたりの18歳選手がウェンブリー・スタジアムのピッチに立った。ひとりは、ドルトムント所属のFWジェイドン・サンチョ。もうひとりは、チェルシー所属のFWカラム・ハドソン=オドイだ。
A代表デビューを果たした2000年生まれのジェイドン・サンチョ ふたりはともに2000年生まれで、2017年に行なわれたU-17ワールドカップでイングランドに初優勝をもたらした主力メンバーである。
サンチョは所属先のドルトムントとの取り決めでグループリーグのみの出場となったものの、3試合で3ゴールを決めるなど、押しも押されもせぬ中心選手だった。一方、ハドソン=オドイはグループリーグから決勝まで全7試合に出場。スペインとの決勝戦では2アシストをマークし、イングランドを戴冠に導いた。
彼らは、2010年前後からイングランドで本格化した「育成改革」の恩恵を受けたプラチナ世代である。
イングランドサッカー協会は、2010年にテクニカルガイド『The Future Game(未来のフットボール)』を発表し、「教える側」と「教わる側」の指針を一本化した。いわゆるキック&ラッシュの悪しき風習のあったイングランドだが、ここでポゼッションとパスワークを新しい基盤とし、そのうえで攻守両面のプレー原則を明確にしたのだ。当時、サンチョとハドソン=オドイは10歳。彼らが育成世代の17歳で頂点に立ち、18歳でフル代表入りした経緯を踏まえれば、ふたりの公式戦出場は非常に意義深いと言えよう。
そのふたりが、欧州選手権予選で爪痕も残した。
ブンデスリーガで8ゴール、チーム最多の12アシストを記録するなど大きなインパクトを放っているサンチョは、昨年11月に行なわれたアメリカとの親善試合でA代表デビューを果たした。そして、今回のチェコ戦で4−3−3の右FWとして先発した。
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