若手台頭のレアルに復調の兆し。欧州4連覇も「不可能ではない」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 もうひとつは、若手の台頭が目覚ましいことだ。

 右SBアルバロ・オドリオソラ、左SBセルヒオ・レギロン、MFマルコス・ジョレンテは、それぞれダニエル・カルバハル、マルセロ、カゼミーロという主力選手に肉迫。そして18歳の新星、ヴィニシウス・ジュニオールは左サイドのアタッカーとして存在感を放っている。国王杯ではバルサ守備陣の脅威となり、アトレティコ戦もPKを誘った。カリム・ベンゼマとの息が合い、独自の世界を見せつつある。

 こうした若手選手たちは、ロペテギ体制では不遇を受けていた。

「野心的で、大きな可能性を秘めている」と、下部組織で監督を務めてきたソラーリは言うが、若手の力を心得ているのだろう。

 ソラーリの公平な選手起用は、結果的にチームとしての競争力を上げている。イスコのようなスター選手も特別視しない。徹底した実力主義というのか。その結果、アトレティコ戦では出番を得たカゼミーロがゴールを奪い、交代出場のガレス・ベイルも得点。チームの士気は高い。

 その采配の妙は、選手時代の経験からきているのかもしれない。

 ソラーリは、スター選手と若手登用の間に挟まれる立場で、ポジションが確約されていなかった。いかにチームに貢献するか。それを突き詰めることで、選手心理を読む力を身につけたのではないか。

「マドリードの選手は、どのように戦うべきかを心得ている。私が言う必要はない。どんな状況でもあきらめず、どんな相手でも誇り高く戦い、勝利を得る。それがこのクラブの哲学だ」

 そう語るソラーリは、レアル・マドリードの作法を知る。では、欧州4連覇は可能か?

 ソラーリはこう答えている。

「レアル・マドリードに不可能などない」

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