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バルサ育成仕込みの指揮官が
森保Jに牙をむく。カタール躍進の秘密 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 アジアカップ最多得点のFWアルモエズ・アリ(レフウィヤ)もアスパイア・アカデミーで育ったあと、オーストリア1部のリンツに在籍後、クルトゥラル・レオネッサでプレー。2部昇格に貢献する決勝点を決めたこともある。現在の所属先は、大会メンバー全員がそうであるようにカタール国内のクラブだが、すでに海外での洗礼は受けているのだ。

 カタールでは、時間をかけた強化が実りつつある。タリク、アルモエズの他にも、意外性のある攻撃を仕掛けるFWアクラム・アフィフ、中盤で守備のフィルターになるアシム・マディボらは、それぞれUー19アジア王者のメンバー。いずれも、"フェリックス・チルドレン"だ。

 フェリックスが作り上げたチームは、戦術的にも実に柔軟。同じメンバーで長くプレーしていることもあるが、試合のなかで4-3-3、5-3-2と、システムを素早く変更することができる。それもアジアカップを勝ち抜いている理由のひとつと言えるだろう。

「すべて(DF、MF、FW)のラインで、チームとしてバランスが取れた戦い方をしなければならない。ソリッドなディフェンスで、相手が作るチャンスを最小限にする。その方向性で戦い続けることが大事だ」

 フェリックス監督は、堅実な戦い方を明確に示している。安定した守備で、効果的な攻撃を繰り出す。その準備は整ったのだろう。

 カタール国内リーグには、シャビ・エルナンデス(アルサッド)のような名選手が入ってきた影響も大きい。2022年カタールW杯に向けて盛り上がる気運。その熱を味方にしたフェリックス・カタールが、日本に牙をむく――。

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