バルサ育成仕込みの指揮官が森保Jに牙をむく。カタール躍進の秘密 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 フェリックスは、U‐15、U‐16、U‐17、U‐18と各年代別代表の選手たちを持ち上がりで指揮している。そして2014年にはアジアU‐19選手権で、同国史上初となる優勝を飾り、2015年のU‐20W杯出場を果たして、にわかに注目を集めるようになった。2016年のアジアU‐23選手権は4位となり、リオデジャネイロ五輪出場を逃したが(出場権は3位まで)、自らが手塩にかけてきた選手を率いて成長を示した。

 その結果、2017年7月から、ウルグアイ人監督ホルヘ・フォサッティに代わって、カタール代表を率いることになったのだ。

「バルサのラ・マシアはたくさんの地域から選手を集め、指導している。アスパイア・アカデミーはほとんどの少年がドーハ出身。センターの中に学校があるので、1日2回の練習が可能だ」

 フェリックスはスペインのスポーツ紙、マルカでそう語っている。アスパイア・アカデミーでは集中的なトレーニングによって、少数精鋭で選手たちを育てているという。同時に国内で進境著しい選手は、欧州で提携しているオイペン(ベルギー)、リーズ・ユナイテッド(イングランド)、ビジャレアル(スペイン)、オーゼール(フランス)といったクラブに"派遣"。積極的な武者修行で経験を重ねさせ、成長を促してきた。

 たとえば、アジアカップに参戦しているディフェンスリーダーのタリク・サルマン(アルサッド)は、アスパイア・アカデミーを"卒業"したあと、スペインのクラブを"放浪"している。アラベス、レアル・ソシエダのユースに所属したあと、スペイン3部(現在)クルトゥラル・レオネッサ(ではトップチームに合流。2017年には、4部アトレティコ・アストルガでリーグ戦にも出場した。

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