検索

今季絶不調のレアル・マドリーの問題点は、クラシコの内容に表れている (4ページ目)

  • photo by Getty Images

小澤 そうですね。メッシがいなくなったことによって、攻撃面ではひとりの力で相手を剥がす、最終的なフィニッシュ局面でゴールを決める、あるいは決定機を作るという部分を引き受けてくれる選手がいなくなったわけですが、その反面、ラフィーニャが入ったことによって、相手にボールを奪われた後の攻撃から守備への切り替えの局面では、全員がボールに対して素早くアタックをかけて、高い位置でボールを奪い返すといったプレッシングが機能するようになったと思います。

 それと、個人的にはキーマンはアルトゥールだと思っていて、この試合でも左インサイドハーフに入りながら、開始早々からルイス・スアレスと2トップのような形をとるように前に出て行って、相手のセンターバックにプレッシャーをかけることができていました。その時は、セルヒオ・ブスケツとイヴァン・ラキティッチがダブルボランチを組む形になるわけです。

 実はこのやり方は、ジダン時代のマドリーがルカ・モドリッチを使ってよく見せていた方法なんです。最近は4-3-3のインサイドハーフが前に出て行って中盤の並びを少し変化させるこの形をうまく使っているチームが増えていて、現在のバルサがその典型で、とくにこの試合の序盤はこの形を機能させていました。逆に、マドリーはモドリッチが前に出て行った時に周りの選手が連動していないので、プレッシングがかからないシーンが目立っていました。

倉敷 ロペテギ監督の解任発表の声明文で「チームには8人のバロンドール候補がいる」と表現したようにマドリーには優秀な選手が数多くいました。ただ、ハイプレスなどロペテギが採用できなかった戦術があるとすれば、コンディションには大きな問題を抱えていたと推察できます。その点はいかがでしょうか?

小澤 そこは間違いなくあるでしょうね。現在のマドリーはケガ人が多くて、この試合でもマルセロが後半途中に負傷交代をしていますし、代わって出場したマリアーノもケガをしました。また、コンディションの部分で言うと、ロペテギ監督が就任したことで新しいアシスタントコーチとフィジカルコーチも一緒に来たわけですが、フィジカルコーチのオスカル・カロがまだ33歳と若くて、その分選手たちになめられないようにと考えたのか、私生活や食べ物など選手にかなり細かくコンディションの部分で強く指導してしまったようで、それに対して主力選手たちから反感を買っていたようです。

 オスカル・カロはまだ30代前半でありながらスペイン代表を率いたロペテギに買われていたほどの優秀な人材だと思いますし、彼のメソッドやコンディショニングは間違いないのですが、やはり選手との信頼関係があってこそのフィジカルトレーニング、コンディショニングです。そこのところで齟齬があったのではないでしょうか。それによって、マドリーの主力のコンディションがあまり上がってこなかったという現象が出てしまったのだと思っています。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る