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武藤嘉紀が「夢の劇場」で宙を舞う。
ニューカッスルには変化の兆し (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 得点シーン以外でも、武藤の動きは効果的だった。

 チャンスと見れば、サイドスペースに走り込んで味方のパスを引き出した。前半31分には、左サイドのスペースに滑り込んでクロスボールを供給。後半18分にも、ダイアゴナルランでサイドのスペースに走り、武藤のフリーランによって空いたスペースにアメリカ代表DFデアンドレ・イェドリンがインナーラップした。これまでニューカッスルは、活力のないアタックに終始していたが、武藤の先発起用でチームにエネルギーが加わった格好だ。

 躍動感をもたらしながら、中盤のつなぎ役としても機能した。前半3分には中盤まで下がり、縦パスを味方選手にシンプルに叩いた。「僕のよさは、裏に抜けるプレーいうのはみんなわかっている。だけど、『全部裏に抜けろ』と言われていて......。それをやっちゃうと真ん中の"中継役"がいなくなる。前半は俺やアジョセ(・ペレス)が中継役にしっかりと入っていた」と、ポゼッションを円滑にするプレーでもチームに貢献した。前節のレスター・シティ戦後に「落ち着いてつなげたり、もっと簡単にプレーしてみたり。確実なプレーを見せていくことも大事」と岡崎慎司からもらった助言を、今回のマンチェスター・U戦で積極的に生かした。

 対照的に、本人が反省の言葉を口にしたのが、2−0のリードで迎えた前半34分の決定機。

 味方のパスに反応した武藤がゴール前に滑り込み、ドンピシャのタイミングでヘディングシュートを放った。しかし、GKデ・ヘアのファインセーブに行く手を阻まれた。3−0にリードを広げていれば、ニューカッスルは勝ち点3の獲得に大きく前進していただけに、「あれは決めないといけない」と悔しさを露わにした。

 もちろん、チームの敗戦にも大きく肩を落とした。本人が「最悪の結果」と嘆いたように、前半に2ゴールを奪いながらも、後半に3点を決められて逆転負けを喫した。この結果、第8節までの成績は6敗2分の19位。またしても、リーグ戦初勝利は叶わなかった。

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