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ムバッペはペレ、マラドーナ級? 
対戦相手とのユニ交換は争奪戦激化 (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 今季ここまで出場試合が少ないのは、ムバッペも人間だという証拠だろう。9月1日のニーム戦で、後半アディショナルタイムに危険なファウルをしてきた相手選手を突き飛ばして一発退場となり、3試合の出場停止処分を受けている。世界王者ともなると、不当な手段で行く手をさえぎろうとする者に激しい怒りを覚えるのは当然だ。

 ワールドカップに優勝したことで、ムバッペのキャリアが損なわれる危険性はある。優れたストライカーにはありがちなことだが、あまりに若くしてピークを迎えてしまうおそれもある。

 その半面、ムバッペが今よりさらに危険な選手になる可能性も十分にある。それはピッチ内で、より中心的な役割を任されるようになったためだ。

 昨シーズンのPSGとワールドカップのフランス代表で、ムバッペはウインガーだった。現在はどちらのチームでも、もっと真ん中でプレーするようになっている。

 PSGの新監督トーマス・トゥヘルは3-5-2のフォーメーションが好きらしく、ネイマールを10番のポジションに置き、最前列にムバッペとエディンソン・カバーニという強力なふたりのFWを並べている(この布陣は現在のフットボール界で最強だろう。だがPSGは攻撃陣に金を使いすぎており、中盤ははるかに心もとない。DFを率いるチアゴ・シウバは34歳になった。PSGがチャンピオンズリーグを制するには、相変わらずバランスに欠けている)。

 フランス代表でのムバッペは、まだ右ウイングとして試合に入ることが多いが、以前よりも中央でプレーすることを求められている。やがてはずっと中央に陣取るようになるかもしれない。フランス代表のセンターフォワードを務めるオリビエ・ジルー(チェルシー)は、9月30日に32歳になる。

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