6歳で戦争体験。インタビュアー泣かせの
モドリッチが「変身」する時 (2ページ目)
「自分はおとなしい性格だけど、ピッチに立つと不思議と臆病さが消える。たぶん、サッカーが僕の心を熱くして、"変身"することができるのさ。日々の練習も、試合も、ボールを蹴るのは楽しくて仕方ない。負けるのは嫌いだけどね」
生来の負けず嫌いが、モドリッチを世界最高の選手にしたのだろうか。しかし、それだけでは説明が足りない。
「自分には、いつも"もっとできる"という思いがある。サッカーに関しては、満足するなんてことはない。それは幼少期に、クロアチアで戦争を体験したからかもしれない。サッカー選手になって、気を抜く、緩める、なんてあり得ないんだよ」
モドリッチは言う。
その幼少期は過酷だった。紛争の勃発によって6歳で故郷を追われ、祖父を殺され、避難を続け、難民たちと肩を寄せ合ってホテルで暮らした。彼にとって、ホテルの裏でボールを蹴る時間だけが、つらさを忘れさせたという。いつしか、「サッカーによって自分が生かされた」という思いが芽生えたのではないか。
「自分にとって、プレービジョンやテクニックは自然に(自分の中に)あったもの。(どうして自分のようなプレーができるのか)説明するのは難しい。その能力に恵まれたことに感謝し、ひたすら改善を重ねてきただけだよ」
そう語るモドリッチは、サッカーの神の子なのかもしれない。誇張が過ぎるかもしれないが、サッカーと人生がこれほど結びついている選手がいるだろうか。
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