6歳で戦争体験。インタビュアー泣かせのモドリッチが「変身」する時

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 2018年、FIFA男子年間最優秀選手(各国代表の監督、キャプテンの投票で選ばれる。フランスフットボール誌主催の「バロンドール」に並ぶ賞で、2010~15年までは統合されていた)に選ばれたのは、レアル・マドリードのクロアチア代表MF、ルカ・モドリッチ(33)だった。

FIFA男子年間最優秀選手に選ばれたルカ・モドリッチFIFA男子年間最優秀選手に選ばれたルカ・モドリッチ 凛とした風貌で優雅なパスからゴールを演出する一方、勝負どころでは強い闘志を見せ、献身的に仲間を助ける。その芸術性と懸命さで、絶大な人気を誇る選手だ。

 過去10年間、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの2人で分け合ってきた賞争いに、モドリッチは久々に風穴を開けた。欧州チャンピオンズリーグ3連覇の原動力になっただけではない。FIFA主催のロシアワールドカップでクロアチアを決勝に躍進させた点でも票を集め、ロナウド、モハメド・サラーを退けた。

 世界最高のサッカー選手になったモドリッチは、あらためてどのようなプレーヤーなのだろうか――。

 モドリッチはインタビュアー泣かせの選手と言われる。自分のことを話すのを得意とせず、むしろ隠したがるタイプで、決して饒舌ではない。自己顕示欲の塊のようなロナウドとは対照的だろう。しかし気が弱いということはなく、激情の持ち主で、ゲームで敗れた後などはその本性が出る。

「Vinagre」

 レアル・マドリードのチームメイトからは、しばしばそう揶揄されるという。スペイン語で「ビネガー(酢)」が直訳だが、転じて「怒りっぽい人」「不機嫌な人」を意味する。負けると仏頂面になって、いつも以上に寡黙になるのだ。

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