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未来が明るいフランス代表。W杯王者の強さを徹底分析した (4ページ目)

  • photo by JMPA

倉敷 小澤さんはムバッペとグリーズマンのタスクについて、どんな印象で見ていましたか?

小澤 グリーズマンは、大会の期間中に成長が見えました。本来であれば自分が輝き、エースになれるという大会で、自分がフランスを優勝に導くというぐらいのエゴを出して、もっと強引に突破を試みてシュートに持っていきたかったのでしょうけど、チームを勝たせるために、とくに守備面でムバッペの穴を埋めたり、あるいはマテュイディがインサイドハーフに下りた時には左のサイドに張って、逆に前線でチェイシングしながらそこにボールを誘導していました。

 かなりポジショニングなどが洗練されてきたとはいえ、ムバッペはまだ19歳。守備においてはそれほど大きなタスクをデシャン監督が背負わせませんでしたから、そこはジルー同様、グリーズマンがムバッペを生かすために守備面で貢献していたと思います。

 また、左右非対称のバランスのなか、マテュイディがインサイドハーフから駆け上がることができるので左ウィングのポジションを空けているところを、グリーズマンがうまく埋めることもできていました。その点も含め、デシャン監督がうまく選手の戦術リテラシーの高さを生かしながらチームを作り、攻撃の設計図を描いていたように見えましたね。

倉敷 中山さん、20年前もフランスはW杯で優勝しましたが、今回はあの時の代表チームとはずいぶん印象の違うチームでしたね。

中山 全然違いましたね。これまでのフランス代表は、ミシェル・プラティニ、それからジネディーヌ・ジダンというカリスマがいた時にタイトルを手にしていましたが、今回はそうではなかった。これは優勝後の会見の話ですが、「ジダン世代、それからその前のプラティニ世代、そして今回はグリーズマン世代が結果を残したのではないか?」というある記者の質問に対して、デシャン監督は「いや、そういう誰かの世代ということではない。このチームを見てもらえばわかると思うが、若い選手たちがチームとしてひとつになって、エゴを殺して戦った。これがこのチームの最大の勝因である」とコメントしていました。僕も同感で、結局そこが今回のチームの強みだったと思います。

倉敷 これからも楽しみですね。若いチームがたくさんのものを経験して優勝した。そのうえで、さらに上積みの余力を残しているのが現在のフランスだと思います。

中山 今回の優勝は、ある意味ラッキーもあったと思うんです。これはクロアチアについてもいえることですが、多くの強豪国が消えていくなかでフランスが最後にタイトルを獲得したという背景があったと思います。ただ、まだ100ある力のうち60くらいしか出てないような自重したサッカーに徹して優勝したという自信は、2年後のユーロと4年後のワールドカップに大きくつながることは間違いないと思います。

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