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「ドイツに勝ったメキシコ」の戦術に
必要な天才アタッカー。日本には... (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

「得点感覚」

 ロサーノの天才性はそこに集約されるだろう。ポジションはサイドアタッカーだが、ゴールの風景が見えている。18歳でデビューしたアステカスタジアムでの試合では、出場5分でいきなりゴールを決め、人々を驚かせた。

 ウィング大国オランダのPSVアイントホーフェンのスタッフが惚れ込み、800万ユーロ(約10億5000万円)で移籍。1年目の2017~18シーズンは17得点を記録している。メキシコ代表には2016年にデビューしたばかりの新鋭であるにもかかわらず、29試合出場で8得点。そのポテンシャルは計り知れない。

 サイドを切り崩すドリブルは武器のひとつだが、ロサーノはそれにとどまらない。そこから先で、ゴールという決定的な仕事をできる。リオネル・メッシ、ネイマール、フェリペ・コウチーニョと同じ系譜のプレーヤーだろう。

 ドイツ戦にロサーノは左サイドアタッカーとして出場している。開始早々から、緩急の変化の激しいドリブルでドイツDFに脅威を与えていた。シュートの場面ではタイミングが合わない様子だったが、前半35分に訪れた好機を確実にものにしている。ペナルティエリア内の左でエルナンデスからパスを受けると、シュートモーションをひとつ入れた後、鋭い切り返しでディフェンスの逆を取り、右足で名手マヌエル・ノイアーのニアサイドを破ったのだ。

「我々メキシコは、どのチームとも互角に渡り合えるだけの力がある。世界の5、6、7位には手が届くような準備はしてきた。相手がドイツだろうと、ブラジルだろうと、俺は勝ちたい。どんな形だっていいのさ。ロシアでは、でかいことをやってみせるよ」

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