2018.06.22

バルサ風か、カウンター戦術か。
スペインが勝ち進めるのはどっちだ?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by JMPA

「なんと言われようが、とにかく勝つことだ」

 スペインのFWルーカス・バスケスはイラン戦後にそう洩らしている。

 その言葉が、この日のスペインを象徴しているだろう。ジエゴ・コスタのシュートが跳ね返って自分に当たったゴール一発で、どうにか1-0と勝利を拾った。6-3-1のような超守備的な戦術で挑んできたイランに対し、自慢のパスワークが不発。元世界王者は攻撃のリズムが上がらず、ひどく手こずっている。

「守りを固めるのはひとつのやり方だろうけど、あそこまで露骨に時間稼ぎをされて、リズムを切られるのはね。審判はどうにかするべきだったよ。後半は特に遅延行為が目立っていたから」

 スペインの右サイドバック、ダニエル・カルバハルも不満をあらわにした。

 苛立ちの募る内容での勝利で、チームに満足なムードはなかった。しかし勝ち点を重ねたことで、グループリーグではポルトガルと並んで首位に躍り出た。モロッコとの最終戦は、引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる。

 はたして、スペインは2010年W杯以来、再び世界王者になれるのだろうか?

イラン戦で貴重な決勝ゴールを決めたジエゴ・コスタ 6月20日、カザン・アリーナは、ブブゼラの音が騒々しく鳴り響いていた。どうやら、イラン人のサポーターが大量に持ち込んだ鳴り物のようだ。それは南アフリカW杯の光景を思い出させた。まさに、スペインが世界王者になった大会だ。

 ところが、前半のスペインはプレーリズムがまったく上がらない。ボールを動かすスピードが遅く、結局は長いボールを放り込んで相手ボールにしてしまう。焦って攻め急ぎ、中央から突っ込んでは跳ね返される。無策な攻撃の連続だった。