W杯目前で散った北アイルランドに見る、厳しくも奥深い欧州サッカー
「この大会で我々はすばらしい結果を残した。ハンガリー・フットボールにとって大きな一歩だ。しかし、またすぐに次の戦いが待っている。ワールドカップ予選はまた別の、そして難しい戦いになるだろう」
昨年、44年ぶりのユーロ出場を果たし、本大会でもベスト16に進出したハンガリー代表のベルント・シュトルク監督が口にした、そんな言葉を思い出す。
スイスを追い詰めるも、W杯出場を逃した北アイルランド フランスで行なわれたユーロ2016は、伏兵の躍進が目立った大会だった。
本大会の出場国数が2012年大会の「16」から「24」に増え、大会前にはレベル低下を危惧する声もあったが、むしろ大会を盛り上げたのは、いわば規模拡大の恩恵を受けて出場権を獲得した国々だった。
初出場でベスト4進出の快挙を成し遂げたウェールズをはじめ、ベスト8進出のアイスランド、ベスト16進出のハンガリー、北アイルランドと、久しぶりに、あるいは初めてメジャートーナメントに出場した国が軒並み勝ち上がった。こうした機会に縁がなかったサポーターも、ここぞとばかりにフランスに大量集結。前年にパリで発生した大規模テロが暗い影を落とすなか、彼らは大会の盛り上げに一役買った。
だからこそ、今回のW杯予選でもこうした国々の動向が注目された。ユーロでの躍進をステップに、彼らは久しぶりの、あるいは初めてのW杯出場を手にできるのではないか、と。
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