W杯目前で散った北アイルランドに見る、厳しくも奥深い欧州サッカー (5ページ目)
記者会見に臨む指揮官も、傍らで見守るスタッフも、質問をする地元記者も、どこか誇らしげに見えたのは気のせいばかりではないだろう。
結局、ユーロ躍進組の最後の砦は破られた。ユーロに続き、夢をかなえたのはアイスランドだけとなった。ユーロで少々結果を残したからといって、簡単にW杯へは行かせてもらえない。そこにヨーロッパ予選の厳しさがうかがえる。
だが、長い間(あるいは一度も)、W杯に出られていないからと言って、彼らは決して弱小国ではなかった。世界的なスター選手はおろか、ヨーロッパの主要リーグでプレーする選手さえ数少ないにもかかわらず、それでもW杯常連国を追い詰めるだけの力を持っていた。そして彼らのようなチームが、選手が、しのぎを削っているからこそ、ヨーロッパのサッカーはレベルが高く、奥が深い。
翻って、アジアはどうか。確かに、全体的な底上げは進んでいる。とはいえ、4年前に比べて明らかに力が落ちている常連国が、あっさりとW杯に出場してしまうのも現実である。
そこに一定の安堵や喜びはあるとしても、あまりに大きな彼我の差を目の当たりにするにつけ、彼の地の厳しさはうらやましくも映る。
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