CL決勝はユベントスにチャンスあり。39歳ブッフォンの初戴冠なるか (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 2000年代中盤に「カルチョポリ」と呼ばれるスキャンダルが発覚し、2部リーグ降格のペナルティを受けたユーベはそこから這い上がり、いま一度襟を正して再建に取り組んできた。イタリアでは初となる自前のスタジアムを手にした6年前からは国内リーグで勝ち続け、今季は史上初のセリエA6連覇を達成。振り返れば、あの苦渋の過去も成長の糧となったはずだし、それは文字通り王道を歩んできたレアル(=ロイヤル。すなわち王室のクラブ)にはない強みと言えるかもしれない。そして、上昇する曲線は止まる気配がない。

 今季に限っても、ポジティブな要素は多い。CLではここまで唯一の無敗を維持しており、このまま頂点まで駆け抜ければ、2007-08年シーズンのマンチェスター・ユナイテッド以来の快挙となる。また国内では、すでにリーグとカップを制しているため、イタリア勢としては2009-10年シーズンのインテル・ミラノ以来の3冠に王手をかけている。

 確かなモメンタムの最中にあるチームには、華のある若きエースもいる。過去にジダンやアンドレア・ピルロがまとった伝統の背番号「21」をつけるパウロ・ディバラだ。

 この23歳のアルゼンチン代表は、クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシに続く、フットボール界を背負うべき主役候補のひとりと目されている。端正なルックスと天才的な左足を兼備し、「宝石」と呼ばれる若者がここで至高のタイトルを獲得すれば、相手のロナウドから主役の座を受け継いだシーズンとして語り継がれることになるかもしれない。

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