乾貴士がカンプ・ノウで見せたリアルな夢。バルサが震えた2ゴール (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 GKジョエル・ロドリゲスの好セーブでなんとかバルセロナの猛攻を耐えていたエイバルだが、74分にルイス・スアレスにセットプレーから同点ゴールを許すと、眠れる獅子、レオ・メッシがついに目を覚ました。PKとセンター付近からのドリブル突破で、それまで外しまくっていたのが嘘のように簡単に2得点を決め、ルイス・エンリケ監督のホーム最終戦に花を添えた。

 93分、試合が終わった時、カンプ・ノウのスコアボードには4対2とホームチームの勝利を示す数字が刻まれていた。両チームの力の差を考えれば妥当なものであり、夢から現実へと引き戻されるのに十分なスコアだった。

 それでも乾がバルセロナを苦しませる2得点を決めたことは現実であり、カンプ・ノウで初めて得点を奪った日本人としてスペインサッカーの歴史に残っていくことも事実だ。エイバルは負けた。それは事実なのだが、なぜか試合後も、エイバルが乾の2つのファインゴールで勝ったというような感覚を消すことはできなかった。

「バルサから2点を決められたのはすごく嬉しいことだし、名誉なことだけど、やっぱり最後は差を見せつけられました。メッシが決めた4点目なんて、すごいとしか言いようがない」

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