幻となった「日本人ダービー」。乾貴士が語った出場機会減少の理由 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 だがそれは、戦いを続けるセビージャにとってはもう過去の出来事でしかない。クラブ史上初のリーガ優勝を目指しているチームは、ウルトラスの問題を抱えながらも、日本のTVのキャッチコピーでいうところの"絶対に負けられない戦い"を続けている。

 エイバル戦も、相手に主導権を握られ自陣で試合が展開するなか、数少ないチャンスをしっかりとパブロ・サラビアとビトーロが決めて勝利を手にし、レアル・マドリードとの勝ち点差3をキープした(ただしレアル・マドリードは2試合少ない)。

 一方、"幻の日本人ダービー"のもうひとりの主役であるエイバルの乾貴士も、ここ3試合で1試合の出場と、思うような試合出場をすることができなくなっている。セビージャ戦も最後まで出場機会は訪れなかった。

「俺よりべべの方が、攻撃のところ、特に途中からの出場に関してはすごく評価されているのかなと思う。それが今年の自分の出番に見えてきている。ここまでリーグ戦で途中出場は一度もなく、先発しかない。監督のその評価、意図はわかる」

 内心は悔しさで一杯なのだろうが、ミックスゾーンではしっかりと立ち止まり、記者の質問に答え、自分の置かれている状況を語ってくれた。そんな心の強さが日本人にとって厳しいリーガで、乾が高い評価を得ている理由のひとつなのだろう。

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