「移籍するかな」と思った吉田麻也が、
サウサンプトンに残留したわけ (2ページ目)
加えて、ロナルド・クーマン前監督による「吉田のSB起用」も、うまく機能しなかった。不慣れなポジションに吉田も苦しみ、マンチェスター・ユナイテッド戦(第6節)とマンチェスター・シティ戦(第14節)で失点につながるミスを犯してしまった。昨季終盤にはSB構想もなくなり、出場機会は極めて限定的になった。
しかし、ピッチに立たないことには成長が見込めないことを、吉田本人も自覚している。プロである以上、出場機会を求めるのは当然のことで、28歳という年齢を考えても、ベンチを温め続ける時期でない。クーマン前監督がフォンテ&ファン・ダイクのふたりに絶対的な信頼を寄せていたことも、頭のなかに「移籍」の二文字がちらつく要因となった。
だが、今オフに転機が訪れた。指揮官のクーマンが退団し、エバートンの監督に就任。昨季までニースで指揮を執ったフランス人のクロード・ピュエルが新監督としてやってきた。しかも、昨季を6位で終えたサウサンプトンは、EL出場権を獲得している。試合数の増加に伴い、吉田の出場チャンスも広がった。
もっと言えば、主将のフォンテにマンチェスター・Uへの移籍のウワサが浮上していた。32歳のポルトガル代表DFが移籍すれば、吉田の序列も上がる。結局、フォンテは残留したが、今オフは転機になりうる要素が少なくなかったのだ。
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