あらゆる人種が集う街レスターが、サッカーでひとつになりつつある (3ページ目)
「フットボールの文化を──もちろんフットボールには文化があるのだけど──知らなかったら、どうやって始めたらいい?」と、マスターは言う。「その世界に適応できなかったら、あるいはそういう世界があることを知らなかったら、その時点で仲間に入れない」
たとえばイングランドのフットボールではアルコールがさまざまな場面で使われるのが当たり前になっており、つい最近までマン・オブ・ザ・マッチにはシャンパンのボトルが贈られていたと、マスターは指摘する。マンチェスター・シティのスター選手でイスラム教徒のヤヤ・トゥーレがシャンパンを受け取らなかった一件以来、プレミアリーグはザクロとローズウォーターのノンアルコールドリンクも用意するようになった。
今でもアジア系の家庭とフットボール界の間には、大きな溝が横たわる。「アジア系の親は、子どもを週に3回、あるいは4回も練習に連れていかないといけないなんて理解できないだろう」と、マスターは言う。「食事やフィットネスなど、子どもに与えなくてはならないサポートのレベルがわかるだろうか。そんな世界のことはアジア系はよく知らないし、彼らには教えられてもいない」
「でも、クラブはそのあたりについては進歩している。レスターもそうだ。もし私がアジア系をめぐる今のフットボールの文化の中でプレーしていたら、プロになれたかもしれない」と、マスターは言う。
3 / 6