岡崎慎司の証言から探る「無冠の帝王」ラニエリ監督の正体

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

「降格候補」から「優勝候補」まで這い上がってきたレスター・シティ同様、チームを率いるクラウディオ・ラニエリ監督の評価も高まってきた。

監督生活30年目、ついにラニエリは「無冠の帝王」の称号返上なるか監督生活30年目、ついにラニエリは「無冠の帝王」の称号返上なるか これまでラニエリは、チェルシーやユベントス、インテル、ローマ、バレンシアなど強豪クラブを渡り歩いてきたが、1部リーグでの優勝経験は1度もなく、メディアから授かった称号は「無冠の帝王」。不名誉なニックネームはこれだけにとどまらず、布陣やセレクションを頻繁に代えることで「ティンカーマン(下手な修理工)」とも揶揄された。レスターの監督就任が決まると、地元出身のガリー・リネカーでさえ、「経験豊富だが......パッとしない」と苦言を呈すほどだった。

 ところがフタを開けると、シーズン前半戦を首位でターン。その後も勢いは衰えず、残り6試合で4勝すれば「プレミア制覇」という"最終コーナー"まで辿り着いた。補強費や選手層からいえば、リーグ中位に進出できたら「大成功」とされたレスター。そんな彼らを首位で牽引する功績はやはり無視できず、ジョゼ・モウリーニョを解任したチェルシーの次期監督候補として、その名が取り沙汰されてもいた。

 レスター取材を通して見えるラニエリは、いかにも好々爺といった雰囲気で、屈託のない笑顔と物腰の柔らかい口調が印象的である。さらに忘れてならないのが、口を開けば出てくるジョークだ。

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