レアルとバルサ、2強を苦しめる「FIFAウイルス」の猛威 (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Hueruta

 政府の財政部門や銀行すらも動かすレアル・マドリードでも、デ・ヘアの獲得はままならなかったわけだが、現在、残留したナバスがクラブの救世主と化している。今季ここまでレアルはわずか1失点。そしてこれには、先発メンバーの誰よりも年収が少ないナバスの貢献度が非常に大きい。

今季からレアルの指揮を執るラファエル・ベニテス監督今季からレアルの指揮を執るラファエル・ベニテス監督 ベニテス監督がスタメンを毎試合変えるなか、放出寸前だったナバスがひとりだけピッチに立ち続けている。共に守るDFの顔ぶれが変わろうが、それに左右されることなく、まだ周囲を納得させられずにいる新監督が文句を言われない結果を生み出しているのだ。ナバスとデ・ヘアのトレードは、ベニテスの了承があってのことだった。そういった事情を承知のうえでチームのためにプレーし続けるナバスに、ベニテスがどれだけ助けられていることだろう。

 一方、バルセロナはFIFAからの制裁により、来年まで新規の選手登録ができない。ただでさえ手持ちの選手だけでやり繰りしなければならない状況に加え、開幕戦ではDFの要、ジェラルド・ピケが退場処分で次戦を欠場。さらに正GKクラウディオ・ブラボをはじめ、ジョルディ・アルバ、ダニ・アウベス、ジェレミー・マテュー、トマス・フェルメーレンらが、ハムストリングの負傷で次々と戦列を離れる事態に陥った。

 加えて、バルサB、セルタと、ルイス・エンリケ監督が過去に率いてきたチームで起用し続け、手塩にかけて育ててきたラフィーニャが膝の十字靭帯を負傷。手術が決まったばかりで完治の時期は発表されていないが、今季の半分以上を棒に振ることは確実だ。

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