イタリアサッカー復権の戦いだったユベントスのCL決勝 (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by MUTSU KAWAMORI/MUTSUFOTOGRAFIA

 これでディ・ナターレは歴代得点ランキングの6位に躍り出た(最終節までにもう1ゴールを挙げ、現在の記録は207ゴール)。ちなみに歴代第1位は1940年代に活躍したシルヴィオ・ピオラ(274ゴール)。現役ではローマのフランチェスコ・トッティ(243ゴール)に次ぐ第2位である。

 ディ・ナターレのすごいところは、このゴールを全てプロヴィンチャ(地方)のチームに所属しながら決めていることである。ランキングの上位を占める選手たちは皆一様にビッグクラブでプレイした経歴を持っている。ユベントス、インテル、ミラン、ローマ、ナポリ……だ。ところがディ・ナターレがこれまでプレーしてきたのはエンポリとウディネーゼ。ビッグクラブでプレイする選手よりも、ゴールはずっと難しかったはずである。

 またもう一つ特筆すべきは、彼がゴールを量産するようになったのは30歳を過ぎてからだということ。かなりの遅咲きでもあった。晴れ舞台に立ち続けたわけではない職人が、スタープレイヤーの記録を超えた。その努力に拍手を送りたい。

【第2位】ミラン株式売却

 1986年2月、ベルルスコーニがミランのオーナーに就任して最初にとった行動が、ミラネッロにヘリコプターで乗り付け、カルティエの銀の盃を選手スタッフ全員に配って祝杯をあげることだった。

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