安い買い物だったマンU。クラブは金儲けの手段になった
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】グレイザー家とマンチェスター・ユナイテッド(後編)
マンチェスター・ユナイテッドのオーナーであるグレイザー家は、しっかりツボをわきまえている。彼らは考えるべきことは考えている。2007年にアテネで行なわれたチャンピオンズリーグ決勝で、敗れたリバプールのオーナーだったアメリカ人のジョージ・ジレットは、メダルを受け取る表彰台に選手たちを導いた。だがグレイザー家のスポークスマン的役割を務めたテシン・ナヤニが著書に書いているように、ジョエル・グレイザーは決してそんな出すぎたことはしない。
ロシアの石油王でチェルシーのオーナーであるロマン・アブラモビッチは、アンドリー・シェフチェンコ(元ウクライナ代表)やフェルナンド・トーレス(スペイン代表)といった選手を監督の好みとは関係なく獲得したが、ユナイテッドではグレイザー家がアレックス・ファーガソンとその後継者にすべてを任せていた。
2012年、NY証券取引所に株式を上場したマンUの経営陣(Getty Images) おまけにグレイザー家は観戦チケットの価格をどんどん引き上げているが、イングランドの他のクラブよりがめついわけではない。今シーズンのオールド・トラフォードで最も安いシーズンチケットは532ポンド(約9万8000円)だ。スポーティング・インテリジェンス社によれば、プレミアリーグ各クラブの最も安価なシーズンチケットとしては、9番目に高い額にとどまっている。ユナイテッドの最も高いシーズンチケットは950ポンド(約17万5000円)。この金額はクィーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)と同じくらいで、アーセナルの半額以下だ。
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