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【EURO】負傷者続出、かつてない逆風にさらされるイングランド代表 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文text by Kurihara Masao
  • photo by Getty Images

 5月26日のノルウェー戦(1-0勝利)ではキャロルが、続くベルギー戦(1-0勝利)ではウェルベックが4-4-1-1の最前線に入り、まずまずの動きを見せたのは朗報だ。いずれの試合でもトップ下にはヤングが入り、キャロルは自慢のパワーを見せ、ウェルバックは代表初ゴールを奪う活躍で、スムーズな連携も光った。

 また、ベルギー戦では、代表初先発となったアーセナルの18歳、チェンバレンが右サイドでキレのある動きを見せ、“救世主”になり得る可能性を感じさせたことは見逃せない。過去の大会を振り返っても、イングランドには90年のポール・ガスコイン、98年のマイケル・オーウェン、04年のルーニーと、大舞台での若手の大抜擢が当たってきた過去がある。チェンバレンも彼らに続くことができるか。果たして慎重派のホジソンが大舞台でどのような選択をするのか注目だ。

 それでも代表のレジェンドで、現在はBBCラジオ5で解説を務めるクリス・ワドルは「過去最低の状況。グループリーグを突破できれば儲けモノ」と言い、かのデビッド・ベッカムは「イングランド代表にはいつも多くのプレッシャーや期待がかかるけど、今回はリラックスしていけるのでは」とコメント。さらには元代表で、ホジソンの就任に伴い代表コーチに就任したギャリー・ネビルも「(イングランドという名前だけで期待されることについて)自分たちの立場を理解し、現実的になる必要がある。我々は王者スペインとも、98年にW杯優勝を経験しているフランスとも違う」と語っている。

 前評判はかつてないほどに低い。そんななかで唯一期待がかかるのは“いい意味での開き直り”か。イングランドがユーロで躍進を遂げるためには、チャンピオンズリーグでチェルシーがバルセロナを倒したように、自らを弱者だと認め、捨て身の戦いで挑む以外に策はないかもしれない。

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