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【EURO】負傷者続出、かつてない逆風にさらされるイングランド代表 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文text by Kurihara Masao
  • photo by Getty Images

 ケガ人の多さも深刻だ。左足首の快復が遅れ、2011~12シーズンを棒に振った技巧派のプレイメーカー、ジャック・ウィルシャーの欠場は言うまでもないが、メンバー23人を発表したあとに4人もの故障者が出たのは想定外だった。

 今季ノリッチで好セーブを連発したGKジョン・ラディーが指を骨折、代わってメンバー入りしたのは、これまで代表未招集だったバーミンガムの19歳、ジャック・バットランド。中盤ではベテランのギャレス・バリー、フランク・ランパードがともにケガで外れ、DFフィル・ジャギエルカとMFジョーダン・ヘンダーソンが追加招集を受けた。そして最終のテストマッチとなった6月2日のベルギー戦では、DFギャリー・ケーヒルがGKハートと衝突し、顎(あご)を骨折。代わってDFマーティン・ケリーが急きょキャンプ地のクラクフへ向かうことになった。

 とりわけ痛いのはランパードの離脱だ。33歳になったとはいえ、代表90キャップを誇り、数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験豊富なMFと、わずか2キャップ、21歳のヘンダーソンでは比較すら難しい。1年前には衰えを指摘する声も目立ったランパードだが、シーズン終盤は出色の出来で、チェルシーのチャンピオンズリーグ優勝にも貢献。全盛期の輝きを取り戻すような活躍を見せていただけに、その穴は決して小さくない。

 ケーヒルにしても、チェルシーの同僚テリーとともにレギュラーCBとしての起用が濃厚だっただけに、不安が残る。ましてや、代わって招集されたのがリバプールでも満足に出場機会を得られていないケリーだ。それにしても、ヘンダーソンを含め、近年不調を極めているリバプール勢を好んだ選出(最多の6人がメンバー入り)には首を傾げざるを得ない。

 そして最大の問題は、予選最終戦でラフプレイを犯し、本大会で2試合の出場停止を受けるエース、ルーニーの不在をどう乗り切るかである。

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