高校サッカーから補欠がいなくなった 部員全員が試合に出る取り組みが進んでいる (3ページ目)
【選手の目の色が変わる校内リーグ】
昨年の準優勝に続き、今年も3位になるなど近年全国大会で目覚ましい成績を残す大津(熊本県)の取り組みも興味深い。今年はAチームがプレミアリーグ、Bチームがプリンスリーグ九州1部、Cチームがプリンスリーグ九州2部、Dチームが熊本県2部リーグに参戦。
加えて、1年生が対象の『球蹴男児』というリーグ戦を戦うが、250人近い部員がいるため、5つのリーグ戦だけでは出場機会を得られない選手も出てくる。選手の成長を考え、試合経験を積む場として2024年から始めたのが『校内リーグ』という取り組みだ。
大津に所属する全部員の出場時間を確保するため、年間を通じて行なう年大会だが、Dチーム以下の選手だけが参加するわけではない。「出られない選手にも週末に真剣勝負をやらせたかった。出られない選手で始めようとなった取り組みだけど、実はプレミアやプリンスのサブにも出られない選手もいるよねとなった」。
そう明かすのは山城朋大監督だ。週末の試合でベンチ入りする20人に選ばれたとしても、5人の交代選手を含めても、出場できるのが最大で16人。また出場時間が短い選手も出てくる。出られなかった選手は可能な限り下のカテゴリーで起用するようにはしているが、場所と日程の関係で難しいケースも多い。そうした週末の試合に出られなかった選手、出場時間が少なかった全選手を校内リーグの対象にした。
7チームによるホーム&アウェー形式でリーグ戦を行ない、チーム編成はAチームの主力である11人を除く全部員がいずれかのチームに所属する。週末の試合に一定時間以上出た選手にはプロテクトがかかり、その週の校内リーグには出られない。試合は35分ハーフで行ない、必ず全員が20分以上出るのがルールだ。
日頃トップチームで練習している選手から1年生までが混在してチーム編成を行なうメリットは大きい。自然と上のカテゴリーでプレーする選手が主力となるが、試合に負けたくないため、その選手が普段と同じ基準でプレーの要求をし、結果として下のカテゴリーにいる選手の質が上がる。いいプレーが出れば自然と褒める声も出て、日頃一緒に練習する機会がない選手たちの自信になる。
いわば紅白戦ではあるが、きちんと仕組みを整えリーグ戦形式にすると選手の目の色が変わる。「勝点があって、順位があるのがいい。ただの紅白戦とは違い、真剣度が増す」と山城監督。
取り組みを始めてからはAチームの主力になる選手も毎年出てきている。右サイドバックとしてインターハイで全試合出場したDF西川和樹(3年)がそのひとりで、レギュラーの座を射止める5月までは途中出場が多かったため、校内リーグで出場時間を得ていた。
「普段のリーグ戦だと絶対に負けられない緊張感があって、あまりチャレンジできない。でも、校内リーグだといろいろなチャレンジができ、自分がやってみたいプレーができる」(西川)
攻撃を牽引したMF西本瑛司(3年)も、スタメンに定着する5月までは校内リーグでプレー。
「校内リーグでは自分が引っ張る立場。自分より下のカテゴリーの選手がいるから、奪われた時に自分が一番行動しなければいけない。自分が走って攻撃と守備をする場面が多かった」と振り返る。校内リーグでの経験が、課題だった運動量増加につながった。
熊本県内には、自チームだけで校内リーグを行なえるほどの部員がいないチームもある。今後は部員の出場時間を確保したい他校が、大津の校内リーグに参加する構想もあるという。
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