Jリーグの日本人選手は、なぜ欧州のクラブに買い叩かれるのか? 実情を精査すれば... (3ページ目)
【日本サッカー界全体の移籍金収入は大きく増えている】
ただ、技術レベルが高く、勤勉で忠実な日本人選手に対する評価は世界的に高まっている。環境への適応に不安があったとしても、リスクを取って投資する価値があると考えられているからこそ、Jリーグから海外へと移籍する選手の数が年々増えているのだ。
長年にわたってサンフレッチェ広島で強化部長として辣腕を振るい、現在はJリーグフットボール本部でフットボールダイレクターを務める足立修氏は、「昔は日本代表に入っていなければ海外には売れないという感覚がありましたけど、今はまったく違う」と語る。
「15、6年前は日本代表の試合を見て、初めて(日本人選手が)海外のクラブから興味を持たれる。そんな時期が実際にありました。海外へ行きたいなら、少なくともオリンピックに出ていないとな......と、選手たちとの面談で話したこともあります。でも、今はその流れが逆になっていますよね」
小林氏も元選手としての経験をふまえながら、海外移籍の傾向にあらわれている変化や、それがJリーグ全体にもたらしている影響を解説する。
「自分が現役の時は、J1のトップクラスかつ日本代表でもレギュラークラスの選手だけが海外へ移籍できる時代でした。ただ、今はJ2でプレーしている選手も海外移籍するようになってきて、時代の移り変わりを感じますね。
もちろん高井選手の移籍は素晴らしい取引だったと思いますが、大事なのは彼のようなトップ選手の移籍だけではありません。日本サッカー界全体が得ている移籍金収入を見てみると、実はひと昔前では考えられないほど大きくなっているんです。
例えばJ2でプレーしていた10代や20代前半の選手が数千万円、あるいは1億円を超えるような違約金を、前所属クラブに残していくケースも珍しくなくなりました。そういうことを考えると、一概に『日本人選手は買い叩かれている』とは言えないと思います」
(つづく)
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