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Jリーグの日本人選手は、なぜ欧州のクラブに買い叩かれるのか? 実情を精査すれば... (2ページ目)

  • 舩木渉●取材・文 text by Wataru Funaki

【「環境適応という点で、日本人選手はリスクが高い」】

「ヨーロッパのクラブにとって、日本人選手の獲得はまだまだリスクの高い投資のはずです。たとえば南米と日本を比較した時、言語や文化、人種などに関してヨーロッパにより近いのは、南米ですよね。だからヨーロッパのクラブが日本人選手を獲得する場合、南米出身の選手よりも適応のリスクが高いと判断されるケースがあります。

 買い手の立場に立って考えると、わかりやすくなります。仮にJリーグのクラブがブラジル人選手と契約する場合、最初にブラジルから獲得する時と、日本で結果を出した後の移籍はまったく別物になります。具体的に言うと、(日本で結果を出したブラジル人選手の)違約金の額がグッと引き上がるんです。

 日本からヨーロッパ、ブラジルから日本など、どこでも同じような現象が起きています。ヨーロッパにおいては、環境適応という点で(日本人選手は)まだ投資リスクが高いと考えられているのだと思います」

 もちろん移籍先のクラブは、選手の適応のために最大限のサポートをしてくれるはずだが、どの選手にも必ず通訳がつくわけではなく、ひとりで言語や文化の壁を乗り越えなければならないケースも多い。

 かつてヨーロッパのあるビッグクラブに所属する日本代表選手を追いかけていた筆者は、スタジアムのエレベーターで一緒になった当時のアシスタントコーチにこう言われた。

「彼に日本語のほかに話せる言語はあるか? 英語でもサポートしているけど、内容がしっかり伝わっているかわからなくて......」

 実はクラブの規模が大きくなればなるほど、全選手を平等に扱う傾向が強くなり、言葉の壁があっても絶対に専属通訳は雇わない方針を掲げていることもある。この選手が所属していたのも、そうした方針を崩さないことで知られるビッグクラブのひとつで、所属選手のほとんどがラテン系の言語でコミュニケーションを取っていた。

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