【Jリーグ連載】東京ヴェルディユースのプレミアリーグ復帰、横山暁之の率直な思いは「ありがとう!」だった (2ページ目)
それからはヴェルディひと筋。高校サッカーへのあこがれもまったくなかった。
「ヴェルディへ入って、ユースからトップチームに上がりたいって、ただそれだけ。本当にそれだけを追っかけてサッカーをやっていました」
自分は絶対にプロサッカー選手になる――。その強固な思いが揺らぐことはなかったが、しかし一方で、厳しい現実にも直面していた。
「中学(ジュニアユース)の時は全然試合に出ていないですし、気づいたら、『オレたちの試合、全部終わっちゃった』みたいな(苦笑)。(自分たちの代の)最後の試合も出ていないんじゃないかな、っていうレベルでした」
横山の記憶をもとにすれば、「高校の時にしても、公式戦の出場時間を全部足しても、90分いってないんじゃないかな、っていうくらいな感じです」。
さすがに実際の出場時間はそこまで少なくはないのだが、横山は苦笑いを浮かべ、「周囲のギラギラ感に入っていけず、一歩引いて蚊帳の外にいたような感じだった」と、アカデミー時代を振り返る。
それこそがすなわち、11年前に味わった高円宮杯U-18プレミアリーグEAST(以下、プレミアリーグ)からの降格について、「他の選手に比べたら、当事者意識は低いかもしれない」と語るゆえんなのだろう。
だがしかし、"自分たちが降格させてしまった負い目"について尋ねると、横山は「いや......」とつないで、「それがないわけではないです。確実にあったし、その責任を感じつつ、大学へ行ってからも(ヴェルディユースの成績が)どうなのかなって、結果は気になっていました」と、胸の内を明かす。
「ずっと僕らが落としちゃったままだったので、どうにか頑張って(プレミアリーグに)戻ってほしいなっていう気持ちは、すごく強かったです」
だからこそ、昨年プレミアリーグ復帰が決まった時は、「うれしかったです、めちゃくちゃ」。横山の表情は自然とほころび、声が弾む。
「いや、うれしいとか、すごいなとかっていうより、『ありがとう!』の気持ちのほうが大きかったのかな」
横山がヴェルディのアカデミーに所属していた時代、その日々は必ずしも楽しいばかりではなかった。仲間が試合で戦う姿を、どこか冷めた目で見ている自分もいた。
それでも、ヴェルディユースを巣立って11年が経過した現在、図らずも横山は後輩たちへの思いを再確認することができた。
「うれしかったっていうより、『ありがとう!』の気持ちのほうが強かった。そういう感情になるってことは、確かに責任を感じていたのかもしれないですね」
(文中敬称略/つづく)
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