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「ウチのサッカー部は本当になくなるの?」中学校の部活動改革はその後どうなっているのか (2ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi

【「地域展開」の名の下、部活動の廃止を進める自治体】

 移行方法は地域の実情に応じて各市町村に委ねられており、取り組み方は様々だ。例えば、静岡県掛川市はいち早く移行を宣言した市町村である。「部活動の廃止」とキッパリ言いきり、来年夏に部活動を廃止するための取り組みを現在進めている。

 部活動を希望する子どもが行き場を失わないように掛川市スポーツ協会と掛川市文化財団が「かけがわ地域クラブ」を創設。軟式野球、サッカー、卓球、陸上競技、バドミントン、バレーボール、卓球といった運動系はスポーツ協会が担い、約130クラブを立ち上げる。吹奏楽、美術、プログラミング、料理といった文科系は文化財団が運営を担い、イベントを含めて活動をしていく。

 なかにはすでに先行して活動を行なっているクラブもある。サッカー部はサッカー協会とともに中学校にサッカー部がない地域に3つのクラブチームを立ち上げ、そのうち1チームは2024年から活動をスタートさせた。監督を担うのはこれまで少年団を指導していた指導者だ。

 中学生の部活動に対するニーズは多様化していて、掛川市がとったアンケートでは毎日部活をやりたくない子どもが多いため、活動はいずれも平日週に1、2回程度。陸上とバスケットボールなどでは競技志向が高い選手を強化クラブに推薦する仕組みも整えている。

 いずれも活動は小学校と中学校、市の公共施設を活用して行なわれる。これまで使用されてきた「地域移行」という名称だと、学校は何もしない、施設を活用できないといったイメージを持たれがちだった。そこで現在は「地域展開」という名称に変更されていて、学校を含めた地域全体で部活動を行なっていく方向になっている。

 一方で、熊本県熊本市は、部活動が持つ教育的な意味合いを考慮したこと、地域の受け皿を確保するのが難しいことを理由に、地域と提携して「部活動を続ける」素案を昨年末に発表している。各部活動ごとに顧問と副顧問を配置するため、2027年度以降は指導者を計1600人確保する予定だが、その半数は指導を希望する教員を見込んでおり、指導者には時給を支払うという。

 部活動がなくなる他の地域では、教員が地域クラブで指導を継続するケースが増えており、文部科学省は届出を提出した上で、法定内残業時間を越えなければ兼業を認める通達を出している。

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