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Jリーグ2025でも10試合開催 集客力抜群の国立競技場は見やすいサッカースタジアムなのか (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【アクセスのよい多目的スタジアム】

 2021年に開催された東京五輪のレガシーである国立競技場に、魅力を感じる人は多い。また、都心にある国立競技場はJRや東京メトロなど最寄り駅が多く、アクセスもいい。神戸や広島からのサポーターにとっては新幹線の東京駅、品川駅から近いのも魅力的だろう(大雪で新幹線に遅れが出たようだが......)。

 その国立競技場の知名度を生かして、昨年からJリーグは「THE国立DAY」と称して多くの試合を開催。いずれも5万人以上の観客を集め、Jリーグの観客動員数の引き上げにもつながった。そして、今シーズンも国立では10試合が予定されている(9月に世界陸上が開かれるため、4月、5月に集中している)。

 現在の国立競技場は、2020年開催予定だった東京五輪を前に2019年12月に完成した新しいスタジアムで収容人員は約6万8000人。本来は2019年のラグビーW杯のために東京五輪招致決定前に全面改築が企画されたのだが、建築費の高騰によって当初の設計案が白紙に戻され、完成は大きく遅れてしまった。

 東京五輪後は主にサッカーやラグビーのビッグゲームに使用されており、昨年、Jリーグも参加したNTTドコモを代表企業とするグループが今後30年間の運営権を獲得した。

 サッカーでは天皇杯決勝やルヴァンカップ決勝、全国高校サッカー選手権決勝などに使用され、ラグビーではリーグワンのビッグゲームや国際試合が行なわれており、今年は世界陸上も予定されている。

 国立競技場はもともと多目的スタジアムとして設計された。

 当初案ではコンサート等のイベントに使用するため開閉式屋根付きとして計画されたが(コンサートの雨天開催や遮音のために屋根が必要と考えられた)、建設費の高騰で開閉式屋根は先送りされ、結局、五輪開催後にはその計画はご破算となった。

 こうして出来上がったのは、陸上競技と球技(サッカー、ラグビー)、そしてコンサート等に使用できるものの、どの競技にとっても中途半端で使い勝手のよくないスタジアムだった。

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