Jリーグ2025でも10試合開催 集客力抜群の国立競技場は見やすいサッカースタジアムなのか
連載第36回
サッカー観戦7000試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」
なんと現場観戦7000試合を超えるサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。
今回は、2月8日にFUJIFILM SUPER CUPが開催された国立競技場について。集客力が高く今季Jリーグでも10試合が予定されているが、はたして「サッカーの見やすいスタジアム」なのでしょうか。
【冬場でもかなりの集客力】
Jリーグの開幕を告げるFUJIFILM SUPER CUPが開催され、サンフレッチェ広島が昨年度二冠のヴィッセル神戸に2対0で完勝した。新戦力の融合も順調そうな広島は、中島洋太朗が急成長してチームの攻撃をリード。中央を固める神戸に対して、前半12分に右サイドの中野就斗のクロスにトルガイ・アルスランが頭で合わせて先制。後半にもCKからDFの荒木隼人が決めて突き放した。
FUJIFILM SUPER CUPが行なわれた国立競技場には、5万3343人の観客が集まった photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 広島はACL2ラウンド16のナムディン戦(アウェー)を控えていたが、ミヒャエル・スキッベ監督はほぼベストメンバーを起用。一方、中2日でACLEの上海海港戦を控えた神戸の吉田孝行監督は主力を温存。スキッベ監督の言うように、この試合の評価は難しい。
昨年も神戸はカップ戦では思いきったターンオーバーを実施。スキッベ監督は対照的にカップ戦にも主力を起用し続けた。その結果、広島は選手の疲労が蓄積してリーグ終盤に失速。神戸の連覇を許したのだが、はたして今シーズンはどうなるのだろうか?
この試合が行なわれた2月8日は日本列島が大寒波に見舞われた。幸い、関東地方は晴れたものの、手元の温度計では8度ほど。北風も吹いてさらに一層、寒さが身にしみた。
そんななかで、入場者数は5万3343人。32回目を迎えたこの大会の最多入場者記録だったという。
神戸と広島という西日本勢同士の顔合わせ。しかも、寒波という条件でこれだけの観衆が集まったのだ。無料招待者が多かったとしても、かなりの集客力である。
その理由のひとつが、国立競技場という舞台だった。
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著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。